【ネタバレなし】憂国のモリアーティの感想・評価2

久しぶりに読み返したらやっぱりおもしろかったので再び感想を書きます。
前回はこちら→憂国のモリアーティの感想・評価 | おすすめマンガの紹介ブログ (osusume-manga.net)

あの有名な「シャーロック・ホームズ」シリーズをモリアーティ視点でマンガ化した作品……
……ではないです。
大幅な改変どころか、桃太郎(原作)と桃太郎電鉄(桃鉄)くらい違うので、素直に別作品として捉えるべきだと思います。ホームズシリーズは昔から世界各地でいじくり回されているので、そこはあまり問題ではありません。

↑初代桃鉄のパッケージ(1988)。
↑絵本宝七種(1804)より。

その開き直った改変がおもしろさ、わかりやすさ、読みやすさにつながっています。
ストーリーやキャラ設定だけでなく、ジャンルとしてもミステリーでもサスペンスでもないという。強いていうならサスペンス ”風” でしょうか。なので、「そっち系のジャンルはちょっと……」という人でも抵抗なく読むことができるでしょう。それぞれ味方側も敵側もキャラが立っているのですいすい読み進めることができます。主人公のウィリアム・ジェームズ・モリアーティの生い立ちや目的にも感情移入しやすいですね。純粋にマンガとしておもしろいのでおすすめの一作。
ただし後半のウィリアムとシャーロックの関係が若干BLっぽい(女作者が書く男同士の友情って感じ)。

元々は階級制度や差別といったところからスタートする作品です。ここ数年で現実の世界でも急に燃え上がり始めた「反差別」の火ですが、そういう視点でもいくらか楽しめるかもしれません。
というかイギリスだけでなく、やっぱりヨーロッパって個人というより文明レベルで差別が染みついてるんじゃないかな、と思わなくもない……
日本も似た制度があったはずだけど、なんで今はこんな感じになってるんだろう?

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